2009年10月12日

さまよう刃

心の中になんとも言いがたいモヤモヤ感が残った、
寺尾聰が主演する映画『さまよう刃』。


さまよう刃


売り上げが150万部を超えるベストセラーになった、
東野圭吾原作の同名小説の映像化。


陵辱され、薬漬けで殺された最愛の娘。
犯人は、法に守られた少年たち。
「復讐は何の解決にもならない」と知りながらも、
自らの手で裁きをくだそうと犯人を追う父親。
そして、「法律を守る」という建前を最優先にする
警察組織に、不条理を感じる刑事たち。


「正義とは何か? 誰が犯人を裁くのか?」


事件に巻き込まれていく登場人物の
それぞれの内面に宿る感情を丁寧に表現しながら、
観る人にこの事件の背景を素直に感じてもらえるような、
そんな中立的な視点で描かれた作品になっていた。




とくに、印象的だったのが、
劇中、竹野内豊演じる織部刑事が、
「俺たち警察は、市民を守っているわけじゃない。
警察が守ろうとしているのは、法律の方ってことですか?」
と、伊東四朗演じる先輩刑事に嘆く場面。


今の日本の法律ではどうすることもできないという、
織部刑事のなんともやりきれない「もどかしさ」が、
画面を通して僕の心により深く伝わってきた。


「人を殺す」ことは道義上、許されない。


でも、もし自分が長峰の立場だったらどうだろう?
冷静な自分でいられるだろうか?


そんな感情を抱きながら長峰と対峙した時、
もしかしたら僕も、刑事規範にそむく織部刑事や、
長峰を逃がした木島老人と同じような行動を
とっているのかもしれない。


物語が佳境へと進むにつれて、
こうした長峰の周辺人物の行動までもが、
大切な人を奪われ、未来すら見えなくなった
長峰の悲痛な「心の叫び」として伝わってくる。


そして、ラスト。
最後は、光も希望もないままに、
問題提起のままエンディングを迎える。


何の解決もないままに・・・。


いや、それどころか、
真野刑事の最後に長峰に対してとった行動が、
この問題をより複雑怪奇なものにしてしまった。


本当に「何が正しいのか」ということが
わからないまま、物語は終わってしまう。


長峰はなぜ、最後まで復讐に徹しなかったのだろうか?




エンドロールの後、映画館には
ものすごく重苦しい雰囲気だけが漂っていた。


誰もが無言で席を立っている。


きっと、この映画を観た人それぞれが、
僕と同じように、「答え」を見出せない、
心に何か異物が刺さっているかのような
「モヤモヤ」を感じていたに違いない。


映画の定番であるエンタテイメント的な要素もなく、
東野圭吾が評しているとおり、まさに、
「闇」と「毒」を描くことに徹した作品。


「本当に難しい題材の映画を観てしまったなあ」と、
ちょっと後悔。


でも、「罪と罰」の意味について、
そして、「命の重さ」について
深く考えることができたという点では、
この映画を観て良かったのかもしれない。




▼映画『さまよう刃』公式サイト
http://yaiba.goo.ne.jp/


▼文庫版『さまよう刃』紹介サイト
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200708000405




最近、結婚して、子どもが生まれて、
人としてどんどん成長していく友達などをみて、
「本当に自分はこのままでいいのだろうか」って
自分の将来についてより強く意識するようになった。


「守るべきものを必死で守り続けること」


それが、その人にとっての本当の「正義」であり、
「強さ」なのだと僕は思う。



そんなとき、ふと思い出したのが歌がある。
Mr.Childrenの『HERO』。


櫻井和寿のやわらかくも、芯の強さを感じる
ボーカルが印象的な「愛」に満ち溢れた名曲。


「歌詞に登場する主人公のような
“強さ”を持った人間であり続けたい」、
この曲を聴くたびに、そう思います。



▼Mr.Childrenの『HERO』
HERO


▼Mr.Childrenオフィシャルサイト
http://www.mrchildren.jp/




posted by 猫たけし at 23:34| 福岡 | Comment(0) | TrackBack(3) | エンタメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: <<ストーリー>>むごたらしい事件によって、大切な一人娘を亡くした長峰(寺尾聰)。ある日、娘を殺した人物の名前と居場所を偶然知った長峰は、犯人の少年の一人を殺害。後日、もう一人の犯人を追う長峰から、殺..
Weblog: 映画君の毎日
Tracked: 2009-10-15 02:53

「さまよう刃 」少年法に守られた悪魔を誰が裁くのか
Excerpt: 「さまよう刃 」★★★ 寺尾聰、竹野内豊、伊東四朗主演 益子昌一監督、114分、2009年、2009-10-10公開                     →  ★映画のブログ..
Weblog: soramove
Tracked: 2009-10-19 07:38

さまよう刃  警察が守るのは警察なのか!!
Excerpt: タイトル:さまよう刃 2009年製作、日本・東映/112分 ジャンル:ベストセラー小説を映画化した社会派ドラマ。 映画館:福知山シネマ1 2人/146席 鑑賞日時:2009年12月9日(水) 18:5..
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Tracked: 2009-12-12 22:03
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